
古い家の土壁のリフォームで悩まれている方がいるのではないでしょうか。
土壁は劣化するとボロボロと表面の土が剥がれ落ちてきます。
劣化してしまった土壁のリフォーム方法と費用について解説しますので参考にしてください。
土壁とは?


土壁とは、下地から仕上げまですべて土を使ってできている壁のことです。
主な原料は、土のほか藁などが使われます。
繊維質である藁を混ぜることで土のつなぎの役割を果たし、壁に強度を持たせます。
土壁に含まれる藁は年数が経つと細かく分解され、発酵します。
その時に出る成分が接着剤の役割を果たして土壁をより強くします。
砂壁との違いについて


砂壁は表面に砂が塗られている壁です。
左官工事で仕上げられる点は同じですが、下地は石膏ボードや土壁、モルタルなどでつくられています。
和室の壁の仕上げによく使われています。
土壁をリフォームするタイミングは?
土壁のリフォームを検討したほうがよいタイミングについて解説します。
古い家の土壁に以下のような劣化症状がみられる場合には、リフォームを検討するタイミングと考えてください。
- ボロボロと剥がれる
- ひび割れの発生
- カビの発生
ボロボロと剥がれる
土壁がボロボロと剥がれてくるようであれば、リフォームを検討するようにしてください。
日常の清掃も大変になるので、早めにリフォームを検討するようにしましょう。
ひび割れの発生
しかし、古い家の土壁は、地震の揺れによる影響を複数回受けているでしょう。
地震で大きな揺れを受けてしまうとひびが入ってしまうことがあります。
また経年劣化によって水分の調整がうまくできなくなり乾燥したことが原因となってひび割れることもあります。
ひびを放置すると土壁がそこから崩れてしまう可能性があります。
ひび割れが発生している古い家の土壁であれば、早急にリフォームを検討しましょう。
カビの発生
カビが発生しているのであれば、土壁の劣化が進んでいる証拠です。
リフォームを検討しましょう。
カビの発生は、見た目が悪いだけでなく、アレルギー症状の原因になることもあるのでリフォームを検討しましょう。
土壁の耐震性について


ここで土壁の耐震性について解説します。
地震によってひび割れなどの損傷が発生します。
しかし倒れにくいのが土壁です。
地震に対する強さと変形能力の観点からみていきましょう。
①強さ
土壁の地震に対する強さはどうでしょうか。
木造住宅の耐震性能の評価方法に壁量計算があります。
地震に耐える壁(耐力壁とよびます)の量がどのくらいあるかを計算する方法です。
その耐力壁の強さを表す数値が壁倍率です。
土壁の壁倍率は1.5倍です。
専用の金物と筋交いや構造合板によって耐震性を持たせている壁の倍率が2.5倍や3.0倍になることを考えると土壁の耐震性は決して強いとはいえません。
地震の揺れを受けると土壁は、ボロボロと剥がれてしまったり、ひび割れることがあります。
②変形能力
建物が倒れないことを評価するときには揺れの影響をどのくらい許容できるかという点で、変形能力が必要になります。
一般的な耐力壁の変形能力の基準に対して、土壁は2倍の変形能力があるといわれます。
古くから木造の建物が存在する日本では土壁も同じように使われています。
地震の多い日本で古い木造の建物が倒れずに存在しているのは、土壁の変形性能が高いことが理由の一つです。
土壁は、壊れることによって地震のエネルギーを吸収し、変形能力の高さと合わせて建物の倒壊を防いでいます。
土壁のリフォーム方法と費用





古い家の土壁のリフォーム方法は以下のとおりです。
工事費用と合わせて解説しますので、検討している方は参考にしてください。
再び土を塗る
費用の目安
8帖間:30万円~
土壁が持つ機能を再び活かしたいのであれば、再び土を塗ってリフォームをするようにしましょう。
ひび割れている箇所には土で埋めて補修してから、仕上げの土を薄く塗り重ねて仕上げていきます。
古い土壁が剥がれかかっている箇所は接着し直すのではなく、すべて剥がしてから仕上げるようにしましょう。
補修して塗り直すと工事後少し経過したところで、再び剥がれてくる可能性があります。
珪藻土やしっくいで塗り直す
費用の目安
8帖間:20万円~
仕上げを珪藻土やしっくいで古い土壁を塗り直すリフォーム方法があります。
土壁が持っている調湿性能はそのままに今までのイメージを変えることができます。
土で仕上げる時と同様に劣化している土壁は剥がしてから仕上げるようにしましょう。
クロス仕上げに変更する
費用の目安
8帖間 :30万円~(下地工事20万円~+クロス仕上げ10万円~)
※フローリング化やクローゼット工事は別途
和室を洋室にしたいと考えている方であれば、クロス仕上げに変更する方法があります。
古い土壁の上に下地をつくり、クロスを張って仕上げます。
床を畳からフローリングに変更したり、押入をクローゼットに変更するなど工事範囲が広がる可能性があるのでコストはかかりますが、お部屋の雰囲気をガラッと変えることができます。
ボロボロと落ちた土を掃除する必要もなくなるので、手入れのしやすさを求めるのであればおすすめです。
DIYで古い土壁をリフォームをする方法について


DIYで土壁をリフォームできるのか
この記事を読まれている方のなかには、DIYで土壁をリフォームしようと考えている方がいるのではないでしょうか。



結論から言うとDIYでリフォームすることはできます。
しかし、おすすめはしません。
土壁を仕上げる左官工事は、本来熟練の技術が必要な工事です。
原材料を混ぜ合わせて仕上げ材をつくる作業、材料を塗り上げて仕上げる作業のすべてに技術が必要です。
正しく工事ができていなければ、短期間のうちに不具合が発生するでしょう。
少しでも長く使いたいと考えているお部屋であれば、土壁のリフォームは専門業者に依頼するのが賢明です。
DIYするなら塗装で上塗り
仕上げの精度は求めないのであれば、DIYもリフォームの選択肢のひとつです。
DIYするのであれば、古い土壁をペンキで塗装して仕上げる方法をおすすめします。
左官工事のような高い技術がなくても、ある程度の精度で仕上げられるからです。
塗装の手順は以下のとおりです。
手順 | 主な作業内容 |
---|---|
清掃 | 土壁についているほこりや汚れをほうきなどで落とす |
マスキング | 塗らない箇所をマスキングテープなどを使って保護する |
下塗り | ローラーなどでシーラーを塗る ※シーラーとは、あくが出ることを防いだり、塗料を吸い込みすぎないようにするために塗る下地処理用の材料です |
補修 | 凹凸があれば補修して表面を整える |
上塗り | 仕上げの塗装。塗り重ねることで仕上がりは良くなります |
仕上げ | 細かい塗り残しなどが無いように仕上げる |



作業期間は、少なくとも1週間程度必要と考えてください。
下塗りや塗り重ねの間に塗料を乾かす時間が必要なためです。
コメント